気密測定はタイミングが重要!
測定前に知っておきたいポイントも説明2024.09.09
●気密性に優れた住宅で暮らすメリットを知りたい
●気密測定をおこなう適切なタイミングがわからない
●気密性は個人でもチェックできるのだろうか
気密測定は建物にどのくらい隙間があるかを確認する検査ですが、タイミングを誤ると効果が薄れてしまいかねません。
この記事では、気密測定するタイミングが重要な理由や測定前に知っておきたいポイントなどをご説明するので、家を建てる予定がある方はお役立てください。
この記事で分かること
●気密測定を2回おこなう理由
●気密測定をおこなうメリット
●信頼できる建設業者へ依頼する重要性
Contents
気密測定のタイミングと重要性を理解しよう!
建てたばかりであっても、建築工事の状況によっては住宅の壁や床に隙間ができてしまう場合があります。
気密測定を行うと隙間の状況を数値化して断熱性能や省エネ性能を評価できますが、測定するタイミングを誤ると、十分な効果を得られません。
ここでは、測定を実施するタイミングのほか、気密測定をおこなう目的をご説明します。
快適な住環境を手に入れる
建物の外壁や窓、扉などに隙間があると、外気の影響を受けやすくなります。
夏の熱気や冬の冷気のほか排気ガスや花粉などは、暮らしやすさを阻害する原因です。
また、室内の空気が室外に逃げて、冷房や暖房の効率が悪くなってしまいます。
気密測定をおこなう目的は、建物の気密性能を把握したうえで対策を施し、快適な住環境を手に入れる点にあります。
技術力を持っている建設業者であっても、建築する住宅に隙間がないとは限りません。
気密測定をおこなうと隙間の状況が客観的に評価でき、必要に応じて改善策に取り組めるようになります。
一年を通じて快適に生活できるとともに、冷房や暖房にかかる費用の節約につながる高気密な住宅を手に入れるうえで、気密測定は大きな役割を担います。
測定は2回行う
建築工事が完成した段階で気密測定を実施する建設業者がありますが、目標値に達しないときは手直しに費用と手間がかかります。
従って、建設業者がどこで気密層を取っているかを確認のうえ、出来る限りクロスなどの石膏ボードを貼る前の、天井や壁・床の断熱工事を終えたタイミングで測定するのがおすすめです。
目標値に達しない時も、この段階であれば隙間のある箇所を特定して改善に取り組みやすく、高気密な住宅を実現できます。
ただし、断熱工事のあとの測定結果が目標を達成していても、竣工までの間に建築現場で何か問題が起きて数値が悪化する可能性があります。
気密測定には1回につき5万円程度かかり、2回実施するには10万円ほど必要です。
費用はかかりますが、すべての工事を終えたタイミングでも念のため2回目の測定をし、目標値の達成を確認するのが得策です。
適切なタイミングで気密測定を行い、快適な住まいを手に入れるためのポイント
気密測定は、断熱工事の終了後と工事が終わったタイミングの2回実施しましょう。
ここでは、快適な住まいを手に入れるうえで、気密測定における重要なポイントをご説明します。
建設業者とC値の目標を共有する
気密測定のC値が1.0㎠/㎡を下回る住宅は、高気密と評価されるのが一般的です。
C値の値が小さいほど隙間が少なく気密性が高い住宅であり、0.5㎠/㎡以下を目標に設定している建設業者も少なくありません。
重要なのは、建設業者との間でC値の目標を共有する点です。
建設業者による手抜き工事を予防できるとともに、目標の達成に向けて丁寧な施工が期待できます。
快適な住まいを手に入れるうえで、C値の目標設定によって建設業者を選定するのも1つの方法です。
目標達成まで何度でも取り組む
断熱工事終了後の気密測定では、C値の目標を達成するまで測定日にできるだけ改善に取り組みましょう。また、改善がその日に出来なくても漏気箇所を明確にすることが重要です。
手直しが必要な隙間を見つけ、気密テープや発泡ウレタンガンなどで埋めていきます。
手直しを施した後に、再び気密測定を行って数値の改善を確認し、目標達成まで測定を繰り返します。
なお、複数回の測定が発生するときに費用を請求する建設業者もいるため、目標の未到達により実施した手直し分は業者負担になるよう契約前に調整しておくのが得策です。
信用できる建設業者の選定
C値の目標設定を比べて建設業者を選定するのも良いですが、信頼性を見極める必要があります。
複数の建設業者に見積りを依頼するとともに、実績を確認しましょう。
目標値の根拠のほか未到達のときの測定や手直しにかかる費用の扱いなど、不明な点は理解できるまで尋ね、回答される内容をもとに業者の信頼性を見極めてください。
なお、気密測定を実施していない建設業者もあり、建物の建築工事とは別の測定業者に気密測定を依頼する方法もあります。
測定業者へ依頼すると、忖度のない客観的な判断を得られる点がメリットです。
ただし、建設業者が実施する場合と比べて、工事の進行状況の説明や図面のやり取りなどの手間がかかる点には注意が必要です。
性能向上だけでない!気密測定がもたらす長期的なメリット
気密測定は、気密性を向上する以外にもさまざまなメリットがあります。
ここでは、気密測定がもたらす長期的なメリットをご説明します。
住宅が長持ちする
家に隙間があって気密性が低いと梅雨の時期などに屋外からの湿気が侵入しやすく、カビが発生して建物を傷めるでしょう。
また、冬場は隙間から漏れる空気によって室内が冷やされ、窓ガラスやサッシ、壁だけではなく、天井裏などにも結露が発生してしまいます。
内部結露は気付きにくく、気が付いたときには腐食やカビが進行しているケースが少なくありません。
濡れたまま放置しているうちに木材が腐り、シロアリの発生によって住宅の寿命を短くする可能性があります。
気密性を高めるのは、結露を抑えてカビやシロアリによる劣化を防ぐなど、住宅を長持ちさせるうえで重要です。
シックハウス症候群の予防
気密性能が低い住宅は外気の影響により、カビが発生しやすくなります。
カビはシックハウス症候群を引き起こす原因の1つです。
シックハウス症候群の症状には、めまい・頭痛・目の痛み・吐き気・嘔吐・咳・鼻水・肌の湿疹のほか、アレルギー症状などが挙げられます。
気密性の高い住宅は、外気の影響を受けにくくカビの発生を抑えられ、シックハウス症候群の予防に効果的です。
ただし、隙間がない建物は、建材などから発生するハウスダストが室外に放出されにくくなります。
ハウスダストも健康被害の要因であり、対策が必要です。
24時間換気システムを常時稼働するなど、高気密な住宅も換気を欠かさないようにしてください。
建設業者へ緊張感を与える
気密測定は、手抜き工事のリスクを下げる方法としても有効です。
気密測定を行うと、建物の隙間の状況を数値によって可視化できるようになります。
そのため建設現場には緊張感が生まれ、目標値以下の気密性になるよう慎重に施工するでしょう。
また、C値が目標に達しないときには、プライドをかけて手直しに取り組まざるを得なくなります。
まずは自己チェック!測定前に知っておくべき情報と注意点
気密測定を自分で行うのは現実的ではありませんが、気密性の状況を自己診断する方法はあります。
これから家を建てるうえで、現在の住居の状況を調べてみると参考になるでしょう。
ここでは、気密性を自己診断する方法のほか、気密測定を実施する際の注意点などをご説明します。
レンジフードの換気扇で状況を把握する
冬場になると室外との温度差が大きくなり、暖房により室内を暖めるほど隙間風が入り込みます。
床と壁の間の他、サッシの下、コンセントボックスなどに手をかざして風を感じるときは気密性が低い状況です。
また、夏季は給気口を防いだうえで、レンジフードの換気扇をつけて確認する方法があります。
強で運転すると室内の空気が排気されるのにともない、その分の空気が隙間風となって外から入ってきます。
手をかざしてもわかりにくい場合は、線香をつけて煙が横に流れるかどうか確認しましょう。
施工の是正に費用と工期がかかる可能性がある
気密測定を行ったうえで目標値に達するまで、隙間などの手直しが必要になりますが、原因の箇所を簡単に見つけられないときには工期が伸びる可能性があります。
断熱工事終了後の測定では、手直しが必要になっても石膏ボードなどを貼る前であり、ほとんどのケースでは大きな工事にはなりません。
建設業者が手直し費用を負担する事例が多数を占めますが、費用を請求されるケースもあるため、契約前に確認しておきましょう。
なお、竣工後の測定で目標に達成しないときには、大きな工事が必要になる可能性がある為、注意が必要です。
建設業者から不要といわれる可能性がある
気密測定は法律により義務化されておらず、気密性を重視していない建設業者は珍しくありません。
各建物に対して測定する必要があるにも関わらず、モデルハウスで測定した数値で説明する営業担当者もみられます。
気密性が高い家を建てたいときには、C値の目標を公表している建設業者を選定するのが得策です。
まとめ
高気密な住宅を手に入れるには、気密測定により隙間の状況を確認する必要があります。
気密測定は、断熱工事終了後と施工後、2回のタイミングで行うのがおすすめです。
断熱工事終了後に測定し、漏気箇所を明確にすることで目標にしたC値を目指して改善に取り組みましょう。そして、完成後に自身の建築した家のC値を確認して安心・安全を確保してください。
気密測定の依頼の際は、漏気箇所を明確にし補修箇所をアドバイスできる株式会社アペルトにお任せください。
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