気密測定とは?必要になる費用や実施による効果も説明2024.06.27
- 家が寒く感じ断熱効果に不安がある
- 断熱効果の確認方法がわからない
- 必要になる費用がわからない
ここでは、マイホームに寒さを感じ暖かい部屋での暮らしを希望されている方に、気密測定とは何か、必要になる費用や実施による効果を説明します。
この記事でわかること
- 気密測定にかかる費用の相場
- 気密測定をおこなったときの効果
- おすすめの気密測定会社と相談方法
Contents
気密測定の費用と効果
住宅の気密性は快適な室内環境に大きく関係しており、隙間をなくして空気の出入りを抑え、外気の影響を受けないようにするのが重要なポイントです。
気密性が高い住宅では室内の空気を換気できるシステムが施されているのに対し、隙間が多い住宅は外気の流入とともに室内の空気が排出されやすくなります。
隙間風による低温や高温の他、湿気や花粉などが室内に流れてきてしまい、換気扇を使って臭いや湿気を外部に出そうとしても高い効果を期待できません。隙間があると光熱費などにも影響が出ます。
大切なマイホームの気密性能を測定したうえで、必要な対策の実施をおすすめします。
気密測定とは
気密測定とは、専用の機械を使って住宅内にある隙間を測る調査です。建物に空いている隙間に対してC値と呼ぶ相当隙間面積を求め、気密性を数値化します。数値が低いほど気密性が高い結果となります。
気密性に配慮していない住宅のC値の平均は9.0㎠/㎡程度に対し、高気密住宅は1.0㎠/㎡を切っておきたいと言われています。
もし、C値が10.0(10㎠/㎡)だとすると、実質述べ床面積が100㎡をもとに計算して、1000cm2の隙間があることを意味します。つまり、約31㎝×31cmの大きな穴が開いており、ちょっとした隙間とは言えないほどの大きさです。
それに対して、高気密住宅であるC値が1.0(1.0㎠/㎡)の場合は、隙間が100㎠となりますので、10㎝×10㎝という小さな面積となります。
C値に関しては法律などでの基準は定められていませんが、C値が低い状態で作られた住宅は高気密といえます。
また、建物を建設する際に測定が義務付けられているわけではなく、実施するのは個々の判断となります。
費用や手間がかかる点などから、施工者に求めないと測定されないケースがあるのが実態です。
気密測定にかかる費用
気密測定は一般化しているとはいえない状況で、費用の相場には差があります。
1回の気密測定には一般的に5〜10万円程度が相場となっており、測定箇所数と現場までの距離にともない出張費用等が追加になるケースもあります。
マイホームの建設で気密測定を標準仕様に含めている建設会社は1割程度であり、別料金を請求されるかもしれません。
測定を希望する際には、建設会社に相談してみましょう。
また、建設会社が測定を実施できないときには、専門の測定会社に依頼できます。
依頼する際には、測定場所の住所や住宅の図面などを求められる可能性があり、あらかじめ準備をしておきましょう。
気密測定の作業内容
測定する際には、窓やドアなどの開口部を施錠します。
すべての換気口を目張りしたうえで、専用の送風機で屋内の空気を屋外に排出するのが気密値の測定方法です。
排出される風量の他、屋内と屋外との気圧差から建物が存在する隙間の合計面積を測ります。
機材のセッティングや目張りに2時間ほどがかかり、実際の測定時間は15分ほどです。
会社によっては、1回の作業で3回の測定(JIS基準)をおこなってC値の平均値を用いるケースがあります。
C値の値が見込みよりも高いときには隙間を是正し、希望するC値に達するまで作業を続けます。
なお、施工業者ではなく気密測定の専門業者が測定するときには、建設会社に対し隙間の是正について説明してもらいましょう。できる限り、気密測定を実施するときには施工業者や大工さんに立ち会ってもらうのがよろしいかと思います。
また、新築住宅を建設する際の気密測定は、断熱(気密)工事が終わったあとと竣工後の2回実施するのがおすすめです。
断熱(気密)が終わったあと
天井の他、壁や床の断熱工事を気密工事と呼びます。気密工事が終わるとクロスなどの下地材である石膏ボードを貼る作業をおこなうため、1回目の気密測定はハウスメーカーによりますが石膏ボードを貼る前のタイミングで実施しましょう。
希望しているC値に達しないときに、気密処理の弱い所を特定して改善しやすいタイミングだからです。
竣工後
建設工事が完了し、引き渡しを受ける前に最終的なC値を算出しておきましょう。
これは完成気密測定とも呼ばれ、気密工事後に開けた電気配線などの穴による影響を確認できます。
しかしながら、完成気密測定の結果が希望するC値に達していなくても、その場で是正できる範囲は限られるのが実状です。
施工業者によっては、是正するのに対し多大な費用を求められるかもしれません。
そのため、気密工事を終えたあとの測定が重要であり、費用の関係で測定を1回しか実施しないときには工事途中での測定がおすすめです。
気密測定の効果
住宅の気密性を高められると建物の外と室内の空気の出入りが減り、外気の影響を受けにくくなるとともに室内の熱が外部に逃げるのも抑制できます。
冷暖房の効率が上がり、光熱費を節約できるのも気密測定による効果の1つです。
また、花粉や黄砂、PM2.5などの汚染物質を含む外気の侵入を防ぎます。
室内の温度差が少なくなる点で結露を防止でき、掃除の手間が減るだけではなくカビやダニの発生を抑えるのに効果的です。
なお、同じ材料を使っていても、丁寧な施工をすると気密性能が上がります。
気密測定をすると決めておくと、職人の緊張感が高まり丁寧な施工が期待できます。
DIYとの相違点
気密測定には費用がかかり、DIYを得意としている方のなかには、新築住宅を建ててから隙間が気になったときに自分で対応しようと考える方もいるかと思います。
高気密住宅の建設を多数請け負っている建設会社から測定する必要はないと説明を受けるかもしれませんが、気密測定の実施は、あくまで施主の判断です。
壁や天井の裏、床下などの隙間を改善するには大がかりな工事が必要になり、DIYで対応するのは困難でしょう。
マイホームは長く暮らす大切な財産であり、新築工事の際にプロの手で気密施工をしてもらうのが得策です。
おすすめの気密測定会社と相談
気密測定は法的に義務付けられているわけではなく、まだまだ浸透はしていません。
そのため、施工業者のなかには気密測定を実施できない会社が多いのが実態です。
施工業者が対応できないときには、IBECs(住宅・建築SDGs推進センター)や日本気密測定推進協会に登録している気密測定の専門会社を利用するとよいでしょう。
気密測定を請け負っている会社
気密測定を実施するには、測定するタイミングを調整するうえで建設工事の進捗状況を共有する他、図面上の確認などが必要です。
マイホームの建設工事を依頼している会社が実施できると、スムーズな進行管理が期待できます。
ただし、気密測定には専門的な知識や手間が必要であり、すべての施工業者が対応できるとは限りません。
IBECs(住宅・建築SDGs推進センター)とは、日本における持続可能な開発目標(SDGs)の推進を目的とする組織です。具体的には、住宅や建築における環境負荷の低減や、地域社会への貢献を促進することを目指しています。このセンターは、建築・不動産業界の関係者や一般市民に対して、SDGsに基づく持続可能な取り組みの普及・啓発を行い、具体的な行動を促進する役割を果たしています。
また、住宅性能の向上を目的として2021年に設立した日本気密測定推進協会は、気密住宅と気密測定の普及を目指し、技術を習得した会員各社が活動しています。
なお、施工業者が対応できないときには、どちらかの当該協会に加盟している会社へ依頼するのが得策です。施工業者から依頼してもらうケースの他、施主が発注する方法があります。
施主が依頼するときには費用を抑えられる可能性があるとともに、希望するC値を達成するまで施工業者に対し忖度なく是正を求められます。
一方で、日程の調整や図面の受け渡しには、施主が現場監督と測定業者の間に入る必要がある点に注意してください。
気密測定の実施を相談するタイミングと相談方法
マイホームの建設に関して契約を結ぶ前に、建設会社に対して相談してみてください。
その際に、建材なども高気密住宅の仕様であり測定する必要はないと説明を受けても妥協しないのが得策です。
なお、追加費用を求められるケースや施工業者では対応できないときには、専門業者での測定実施を検討してください。
専門業者に依頼する際には自分で参考見積りを求め、実施にあたっては建築工事の契約前に確定させておきましょう。
相談する際の注意点
気密測定の実施を相談するうえで、C値の目標値を施工業者と共有するのが効果的です。
また、気密測定を標準仕様に含めていても完成気密測定だけを対象にしている会社も少なくありません。
完成気密測定になると、C値が目標値に達していないときに是正するのが困難になってしまいます。 そのため、気密工事を終えた後に測定してもらうよう交渉しましょう。
リフォームやリノベーションでの気密測定の意義と費用
気密測定は新築住宅の建設に限らず、既築住宅でも隙間がある箇所をみつけて是正につなげられます。
中古住宅は新築住宅に比べると気密性能が低い場合が多い分、測定による効果が出やすい傾向があります。
気密性リノベーションの高い効果
住宅が建てられた時代によっては気密性が重要視されていなかった可能性があり、測定値が高い値を示すケースは少なくありません。建築基準が現在とは異なり、築古の木造住宅などは気密性能を求められていなかったと考えられます。
また、経年変化により断熱材の劣化や隙間ができているのが一般的です。中古住宅を気密性リノベーションすると、快適さの違いを実感できます。
なお、リノベーション済みで新築のような中古住宅は壁や天井裏、床下などの隙間や、断熱材の劣化によって気密性に不安があります。 住んでから隙間風や冷暖房の効きの悪さに悩まされるケースがある点に注意してください。
気密リノベーションの費用節約のコツ
リノベーションをおこなう際に予算に限りがあるときには、気密性を高めるうえで優先順位を付け、効果の出やすい箇所に取り組むとよいでしょう。
たとえば、壁の裏側を上下に流れる空気の動きを抑える気流止めや、窓ガラスやサッシの交換、内窓の設置、劣化したパッキンの交換、シーリング材の打ち直しが挙げられます。
また、住宅の全体を取り組まずに、滞在時間の長い部屋に絞る方法もあります。 気密測定に詳しい専門家に相談するのがおすすめです。
まとめ
快適な暮らしを送るうえでマイホームの気密性を高めるのは重要になりますが、気密測定は義務付けられているわけではなく、実施は施主の判断に委ねられている状況です。
気密測定を実施するときには、施工業者とC値の目標値を共有するのが重要なポイントです。
気密測定には費用がかかりますが、住宅の気密性を高め、快適な暮らしをお過ごしください。