気密測定の注意点|測定精度を下げないためのチェックリスト2025.12.08


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気密測定で失敗しやすいポイントとは?
気密測定は住宅の隙間からの空気漏れを評価するための検査です。施工者側の小さな手落ちや測定時の準備不足で、実際の住宅性能と異なる数値が出ることがあります。ここでは施主が知っておくべき失敗しやすいポイントを整理します。
施工段階で見落とされがちな小さな隙間
コンセント裏、配管周り、構造用金物の周辺など、目に見えにくい箇所は漏気の温床です。施工時に目視だけで済ませると見落としが多く、測定で想定外の悪化を招きます。
測定器の設置・取り扱いミス
気密測定はblower doorなど専用機器で行いますが、機器の取り付け位置やシールの不備、校正不足が誤差の原因になります。測定業者が機器の設置をどう行うか、事前に確認しておきましょう。
仕上げ工程後に発生する微細な隙間
クロスや床仕上げ、造作家具の取付けで微小な隙間が生じることがあります。測定タイミングが仕上げ直後だと、仕上がり状態での漏気が反映されるため、施工順序の確認が重要です。
換気設備やダクトの閉め忘れ
換気扇やレンジフード、排気ダクトの開口が残っていると測定に影響します。設備のシャッターやキャップの閉め忘れがないかチェックしてください。
人的ミス・確認不足
立ち合い者の指示ミス、測定前チェックリスト未使用、関係者間の情報共有不足など人為的な要因も失敗の主因になります。施主としても簡単なチェック項目を持っておくと安心です。
測定前に確認すべき施工箇所(コンセント・サッシ・配管まわり)
測定前に重点的に確認したい箇所を具体的に示します。施主が立ち合う際に確認すべきチェックポイントとして活用してください。
コンセントやスイッチボックスの裏側
コンセント裏は壁の気密層と通じていることが多く、ここを専用のエアタイトボックスやシーリングで処理していないと漏気が発生します。表面的に見えている部材だけでなく裏側の処理を確認しましょう。
サッシ・窓枠の取り付け状況
窓やサッシの取付け不良、コーキングのムラ、ゴムパッキンの不具合は漏気の大きな原因です。特に掃き出し窓やコーナー部分は重点確認箇所です。
配管(給排水・ガス・空調)の貫通部
配管の貫通部分は断熱材や気密材で処理されているか確認してください。配管周りのクリアランスを放置するとそこから大きく空気が抜けます。
換気ダクト・エアコンスリーブの端部
ダクト接続部や壁スリーブの周囲をしっかりシールしているか確認しましょう。仮止めやテープだけで済ませていると測定で露呈します。
床下・天井の点検口
床下や天井裏に点検口がある場合、蓋のシール状態や周囲の処理も確認が必要です。点検口周辺は工事最後まで見落とされがちな箇所です。
測定時の外的要因(気温・風・時間帯)に注意
測定は建物と外気との圧力差を利用して隙間を評価します。外的要因によって数値が変動するため、測定のタイミングや環境を整えることが大切です。
気温差と自然対流の影響
室内外の温度差が大きいと、自然対流が生じて測定中に空気の流れが発生します。極端に寒い日や暑い日、急激な温度変化のある時間帯は避けるのが無難です。
風(外部風圧)による誤差
強風や突風が吹くと建物外周にかかる圧力が不安定になり、測定結果に影響します。風速の高い日は測定を避けるように業者と調整してください。
時間帯の選定(朝夕の温度変化回避)
早朝や夕方は地表付近の気温変動が大きく、日中より測定値のばらつきが出やすい傾向があります。昼間の安定した時間帯を選ぶと安定した結果が得られやすいです。
周辺工事や開口の有無
近隣での工事や大型車の通行、窓外の作業などで建物周辺の圧力が変わると測定に影響します。周辺状況も確認しましょう。
雨や湿度の影響
湿度が高いと素材の膨張収縮でわずかな隙間が変化する場合があります。大雨や非常に湿った日は避けるのが望ましいです。
C値が悪かったときの原因と改善策
測定で期待したC値が得られなかった場合、原因を冷静に特定し優先順位を付けて補修することが重要です。ここでは原因別の対処法を示します。
漏気箇所の特定方法
blower doorを使ったときに発生する圧力差により漏気を可視化できます。さらに簡易的には煙や煙の代わりになる試験用器具で気流を確認したり、暖かい季節なら赤外線サーモグラフィで温度差から察知したりします。業者はどの方法を使うか事前に説明してくれるはずです。
優先的な補修手順
まずは大きな漏気箇所(開口・ドア・窓など)を塞ぎ、次に配管貫通部やコンセント裏などの細かい隙間を補修します。シーリングや気密テープ、専用の気密ボックスを使用し、補修後は必ず再測定することが重要です。
再施工時の注意点
補修を行っても施工方法に問題が残る場合があります。補修材料の選定、施工者の技術、補修箇所の再発リスクを確認し、必要なら専門業者に依頼してください。再測定のタイミングも材料の乾燥を考慮して決めます。
設計段階へのフィードバック
測定結果は設計や施工方法の改善に役立ちます。どうしても改善できない箇所がある場合は設計段階での構法見直しや仕様変更で対応できることもあります。施主としては測定結果を共有し、今後の対策を相談しましょう。
費用対効果の考え方
全ての隙間を完璧に塞ぐことは現実的ではないため、費用対効果を考えて優先順位を付けることが必要です。光熱費削減や快適性向上に直結する箇所から手を付ける判断が重要です。
工務店・測定業者に確認しておきたいこと
立ち合いの際に業者に必ず確認しておきたいポイントをまとめます。これにより測定の透明性が高まり、トラブルを未然に防げます。

測定日時と天候条件の事前共有
測定日は天候の影響を受けやすいため、事前に予備日を含めてスケジュールを組んでもらい、当日の天候判断基準を確認しましょう。
測定方法と使用機器の説明
どのような測定機器を使うか、どの程度の範囲で測定するか(全部屋か一部屋か)、機器の校正は済んでいるかなどを確認してください。業者からの説明が不十分な場合は遠慮なく詳しく聞きましょう。
測定結果の報告書フォーマット
結果は数値だけでなく、漏気箇所の位置、写真、補修提案が載った報告書で受け取ることを推奨します。書面での記録は将来の保証にも役立ちます。
補修・再測定の責任範囲
測定で基準を満たさなかった場合の補修費用負担や再測定のタイミング、責任の所在を事前に合意しておくと安心です。口頭だけでなく書面で確認しましょう。
保証や記録の保管方法
測定データや補修履歴は住宅履歴の一部となります。図面や写真、測定報告書を住宅引渡し書類と一緒に保管すると将来のメンテナンスや売却時に有利です。
施主向けよくある質問(FAQ)
施主が抱きやすい疑問に簡潔にお答えします。基本的なポイントを押さえておけば立ち合いも安心です。
気密測定はいつ行うのが理想ですか?
一般に内装仕上げの完了直後、換気設備を含む住宅設備の取り付けが終わった段階で行います。ただし仕上げ工程で新たな隙間ができる可能性があるため、最終確認として引渡し前に再測定を行うケースもあります。
測定にかかる時間はどれくらいですか?
住宅の大きさや準備状況により異なりますが、準備と測定、初回診断で通常1〜3時間程度が目安です。補修が必要な場合は別途時間がかかります。
自分でできる簡易チェックはありますか?
窓や玄関の閉まり具合、換気口の開閉、コンセントプレートのぐらつき、点検口の密閉状態など目視で確認できる箇所をチェックしておくと良いです。簡易な煙(試験用)でドラフトを確認する方法もありますが、安全に注意して行ってください。
C値の目安はどう判断すべきですか?
C値の適切さは地域や設計の目標によって異なります。重要なのは測定値が設計目標に近いかどうか、そして測定値を基に補修で改善可能かどうかを判断することです。業者に設計値との比較を依頼しましょう。
測定で悪い結果が出たら家づくりは失敗ですか?
いいえ。測定は問題点を「見える化」するための手段です。悪い結果が出たら補修を行い、再測定して性能を確保するのがプロセスです。重要なのは測定結果に対する業者の対応です。
施主向け簡易チェックリスト(当日用)
以下をプリントして立ち合い時に確認してください。短いチェックリストは現場での見落としを減らします。
当日チェックリスト(短縮)
玄関・窓が全て閉まっているかを確認する
換気設備のシャッターやキャップが閉じられているか確認する
コンセント・スイッチの表面にぐらつきがないか確認する
床下・天井点検口の蓋がしっかり閉まっているか確認する
大きな開口(仮設の開口、外部作業の開口)がないか確認する
まとめと施主へのメッセージ
気密測定は住宅性能を確かめる非常に重要な工程です。しかし数値だけに一喜一憂するのではなく、測定は施工品質を改善するための手段であることを理解してください。施主としては事前準備の確認、測定時の立ち合い、測定結果の書面受領と補修計画の合意を行うことで、最終的に設計どおりの快適な住まいを手に入れることができます。適切な業者選びとコミュニケーションが成功の鍵です。









